大きく分けて、皮膚に刺入する鍼と刺入しない鍼があります。
刺入する鍼は怖い、という印象をお持ちの方も多いと思います。しかし太い中国の鍼と違って日本の鍼は、繊細な日本人の感覚に合わせて非常に細く、髪の毛程度の太さで作られており、また当院では鍼を動かして響かせるといったような強刺激は行わないため、ほとんど痛みは感じません。反応のあるツボに刺入しますが、病状によって補法、瀉法を使い分けることで、経絡の気の流れを調整し、病気を治します。
刺入しない鍼には色々ありますが、当院では「古代鍼」と「打鍼」を使用しています。
触れるだけですので、全く無痛です。生後一ヶ月から治療できます。主に子供に使用しますが、敏感な大人にも用います。
「古代鍼」には金と銀があります。主に金は温める(補法)、銀は冷やす(瀉法)、それぞれ病状応じて施術者が使い分けます。小児鍼によく見られるカギ鍼も昔は使用しましたが、古代鍼の方が様々な病状への適応範囲が広く、治療効果も高いため、私はこちらを利用しています。
「打鍼」は、室町時代の僧、夢分斎が編み出した日本伝統の鍼。もともとは刺入する方式でしたが、現代に合わせて北辰会が刺入しない方式で復活させました。腹部に木槌で太目の金属の鍼でコンコンと叩き、全身のバランスを整えます。小児や体力の低下した人、妊婦などによく用います。
刺入しない鍼の場合、初めて受ける方はこれで治るのだろうかと不思議に思われますが、鍼の当て方には施術者の技量が問われ、上手に施術するとよく効き、非常に気持ちの良いものです。また小児や大人でも敏感な気の動きの早い方や、体力低下により鍼を刺せない人には、より治療効果が高くなる場合があります。
- 毫(ごう)鍼
- 古代鍼
- 打鍼
お灸に使用する艾(モグサ)は、ヨモギの葉を何度も乾燥させて篩(ふるい)にかけ、残ったヨモギの葉の裏の白い綿毛を、特殊な機械で精製したものです。
当院のお灸は、透熱灸、隔物灸、棒灸があります。
透熱灸はもぐさをこよりにし、お米の半分ほどの大きさの円錐形にちぎって、直接ツボの上に置き、線香で燃やします。
チクッと一瞬熱く感じる程度ですが、冷えの強い方は全く熱さを感じないこともあります。
反応の出ているツボに、五・七・九など奇数の数だけ、病状に合わせて左右共にすえます。
隔物灸は市販でもよく見かけるものですが、直接肌には触れない為、熱さも柔らかです。
重い病気では効果が薄いですが、透熱灸の出来ないデリケートな方や、妊婦さんなどに用います。
棒灸はもぐさを棒状に巻いたお灸です。ツボから3〜5センチほど離し、かざすようにして温めます。隔物灸と同様に、強刺激に適さない患者さんに用います。
お灸は主に、冷え体質(陽虚)の人、長年患った慢性病など、頑固な病で気の動きが悪い人などに用います。初回から何回かは鍼のみで様子を見て、治りが悪い場合にお灸を併用することが多いです。
- もぐさと透熱灸
- 隔物灸
- 棒灸